待った年数より先に見る、彼の3つの動き
「もう3年になる」「気づけば5年たっていた」。待っている側は、年数で状況を測りたくなります。年数は、待ってきた時間の重さだからです。
ただ、離婚に向けた動きとして外から見えるのは、年数ではなく行動です。まず夫婦の話し合いがあり、それがまとまらない時やできない時は、家庭裁判所の調停という手続きを使えます。
だから、見るものを年数から彼の動きに移します。具体的には次の3つです。
- 配偶者に「離婚したい」と伝えたか
- 弁護士への相談や、家庭裁判所の調停に進んだか
- お金と住まいの話が、金額や時期まで具体的になっているか
10年待っていても、この3つがすべて止まっているなら、離婚に向けた彼の動きは確認できない状態です。反対に、待った期間が短くても、配偶者に伝えて弁護士に相談しているなら、彼は離婚に向けて動き始めています。年数の長さと、離婚までの距離は別のものです。
別居しているのに離婚しない、と言われたときに起きていること
「妻とはもう別居している。だから離婚は時間の問題」。この言葉を聞いて待っているのに、離婚の話が一向に進まない。ここでは「別居しているのに離婚しない」状態を、彼の行動として何が起きているかで3つに分けます。
別居の様子を、彼の話以外で確かめられない
別居していると聞いていても、彼の部屋を見たことがない。週末や年末年始になると、連絡が途切れる。住まいの話になると、話題が変わる。
この場合、確かめられているのは「彼が別居していると言った」ことまでです。彼の話が本当かどうかは、ここでは判断しません。ただ、彼の話だけで知っていることと、自分の目で確かめたことは、分けて持っておきます。あとで状況を見直す時に、どちらの情報をもとに考えていたかが分かるようにするためです。
彼の話の外で確かめられるのは、彼が自分から見せてくれるものに限られます。新しい部屋の契約書や、弁護士とのやり取り、家庭裁判所からの書類などです。配偶者への連絡や自宅の訪問、彼の跡をつけることは、あなた自身を危うい立場に置くため勧めません。見せてもらえないものは、確認できないものとして置いておきます。
分け方は簡単です。彼から聞いた話を、聞いた日付と一緒にメモに残します。「4月に、妻とは来月から別々に暮らすと聞いた」のように書いておくと、その後に何が起きたか、何が起きなかったかを並べて見られます。メモは紙の手帳のように、彼と共有しているスマホやクラウドに同期されない場所に置きます。
生活費を家庭に送り続けている
別居していても、彼が家庭に生活費を送り続けている。それを見て「家庭を捨てきれないのでは」と不安になる人もいます。
別居中の夫婦の生活費は「婚姻費用」と呼ばれ、分担の話し合いがまとまらない時やできない時は、家庭裁判所に調停または審判を申し立てられます。生活費を送っているだけでは、離婚の意思があるかどうかは判断できません。
見るのは、そのお金の話が離婚の条件として出ているかどうかです。「離婚までは生活費を払い、離婚の時に財産をこう分ける」という話が配偶者との間で出ているなら、お金の話は前に進んでいます。生活費を送るだけで、その先の取り決めの話が出ていないなら、別居の状態がそのまま続いているだけです。
夫婦の話し合いの場が持たれていない
別居の期間が長くても、離婚について配偶者と話していないなら、離婚に向けた動きは確認できない状態です。
彼が「妻が話し合いに応じてくれない」と言う場合もあります。家庭裁判所の説明では、離婚の話し合いがまとまらない時だけでなく、話し合いができない時にも調停を使えます。彼の場合に当てはまるかは、弁護士に相談して確かめる事項です。その相談も調停の申し立てもしていないなら、彼の側の動きは止まったままです。
「子どもが卒業したら」のような条件付きの約束の読み方
「子どもが卒業したら」「親の介護が落ち着いたら」。離婚の時期が、何かの条件に結び付けて話されることがあります。条件そのものには事情があり、それだけで疑う理由にはなりません。
読み分けるのは、条件に次の2つが付いているかどうかです。
- 日付:その条件が来るのは、何年の何月か
- 手続き:その時が来たら、誰に、何をするのか(配偶者に話す、弁護士に相談する、調停を申し立てる)
例で見ます。
- 「子どもが卒業したら離婚する」:日付は卒業の年月から分かりますが、手続きの話は出ていません。時期の目安があるだけで、離婚の予定にはまだなっていない状態です。
- 「下の子の卒業式が終わった翌月に妻と話す。その前に弁護士に相談しておく」:日付も手続きもあります。条件と手続きが結び付いています。
- 「落ち着いたら考える」:日付も手続きもありません。時期も手続きも決まっていない状態です。
もう1つ見ておきたいのは、一度示された時期が過ぎた時の動きです。「上の子の卒業まで」が過ぎたあと、「下の子の受験が終わるまで」と、新しい条件が付け足されることがあります。条件が後ろへ移ったことは、起きた出来事としてメモに残せます。条件が移るたびに、その条件の日付と、その時にする手続きを確かめておきます。
確かめる相手は、彼本人です。「本当に離婚する気があるの?」と聞くと、彼は気持ちで答えるしかありません。「その時が来たら、最初に何をする予定?」と聞けば、行動で答えやすい聞き方になります。答えに日付や手続きが出てこなければ、それも1つの答えとして受け取ります。
彼の行動で確かめられること
ここまでの話を、彼の行動として確かめられる形にまとめます。
- 配偶者に離婚の意思を伝えたか。伝えたなら、配偶者はどう答えたか
- 弁護士に相談したか。家庭裁判所に調停を申し立てたか
- 財産の分け方や養育費の話が、金額まで出ているか。書面はあるか
- 新しい住まいを探したり、契約したりしているか
- 離婚の時期が、日付と手続きの付いた形で示されているか
- ここまでのことのうち、彼が書面などで見せてくれたものはどれか
離婚に向けて実際に動いている人にどんな行動が出るかは、離婚に向けて動いている既婚者に出る行動で詳しくまとめています。
彼の動きは、いまどこまで来ているか
前の項目を、彼が見せてくれたことと、彼の話で聞いただけのことに分けて並べてみます。確かめられていることと、まだ彼の言葉だけのことが分かれてきます。
待ってきた年数は、あなたの側の事実です。彼がどこまで動いたかは、彼の側の事実です。この2つを分けて見ると、次に何を確かめればいいかが見えてきます。
待つかどうかを決めるのは、あなた自身です。決める時の材料は、彼の言葉よりも、彼が実際に取った行動のほうが確かです。「次の春までに、配偶者へ離婚を伝えたかどうかを確かめる」のように、確かめることと時期を自分の側でも1つ決めておくと、年数だけが積み重なる状態から抜け出す手がかりになります。